SONYのライバルはPanasonic ?! フルサイズミラーレス一眼 DC-S1
デジタル一眼と言えば、APS-Cが主流と言える状況だったのが、
35mmフルサイズミラーレス一眼、SONY α7・9シリーズの登場で風向きが変わりました。
SONYのライバルは当然Canon、NIKONと思っていましたが…
基本性能が似たSONYとPanasonicのフルサイズミラーレス一眼
SONYのライバルと言えば、老舗のCanonとNIKONと考えるのが普通ですが、
新しいカメラの事をあれこれ調べていたら、PanasonicのDC-S1が目に止まりました。
そういえば、Panasonicもフルサイズミラーレス一眼を発売したんだったと思って調べてみたら、
基本的な性能がSONYのα7Ⅲに似ていることに気付きました。
DC-S1とα7Ⅲ、似ているけれどちょっと違う
しかし、同じ点をずらっと並べても意味が無いので先に違うところを挙げてみました。
・DC-S1が大きく、重い
変に小型化されるとかえって使いにくいので大きさの点では問題ないのですが、367g重いのはちょっと…
α7ⅢもDC-S1も同じマグネシウムボディなのですが大きさの違いがほぼそのまま重さに現れているようです。
・サブモニターの有無
DC-S1には上部にサブモニターがありますが、α7Ⅲにはありません。確かにあれば便利ですが…
・DC-S1はXQDメモリーカードの使用ができる
新しい企画のXQDメモリーカードですが、開発元のソニーのα7ⅢでXQDメモリーカードが使えないのはどうなんでしょう?
まだ高価なので気軽に買い替えられるものではありませんが、堅牢であることや高速書き込みができることを考えるとα7Ⅲでも対応して欲しかったですね。
また、α7Ⅲはスロット1のみがUHS-IIに対応と、ちょっと古さを感じます。
・測距点の違いと測距方式
α7Ⅲの693点に対してDC-S1は225点。
その測距方法も、α7Ⅲの位相差検出方式に対してDC-S1はコントラスト方式です。
他社は、遅いコントラスト方式から位相差検出方式に移行していますが、Panasonicは「DFDテクノロジー(空間認識技術)」という独自技術によって従来のコントラスト方式より高速化を図っているそうです。
・自動認識AF
DC-S1は、瞳AFだけでなく人体・動物の認識もしてくれます。
また複数の被写体を認識したとき、タッチやジョイスティックのプッシュでAFエリアを変更できます。
α7Ⅲも人物や動物を認識してくれる傾向はありますが、複数の顔認識を選択することはできません。
被写界深度を考えるとAFエリアの選択ができるのは非常に助かりますね。
・測距輝度範囲
α7ⅢのEV-3~20に対してDC-S1はEV-6~18。この-6EVからというのが羨ましいです。
高感度耐性が高いのに薄暗い環境でAFが迷うのは辛いです。
・電子式ビューファインダーとモニター
電子式ビューファインダーは、どちらも同じ0.5型でα7Ⅲの236万ドットに対してDC-S1は576万ドット。
モニターは、α7Ⅲの3.0型92.1万ドットに対してDC-S1は3.2型233万ドットです。
先発のα7Ⅲは厳しいですね。ただしファインダーやモニターの映像を過信するのは危険です。
私は、フレーミングがわかればそれで良いと思っていますし、大きく設定を間違えている場合には気付かせてくれますから気にしていません。
・バッテリーの持ち
α7Ⅲのファインダー使用時の約610枚に対して、DC-S1はファインダー使用時約380枚とかなり開きがあります。仕様にバッテリー容量が記載されていれば簡単に比較できるのですが、DC-S1の方はわかりません。(α7ⅢのNP-FZ100は、2,280mAh)
・手振れ補正の強化
α7ⅢもDC-S1もボディ内手振れ補正機能が搭載されています。
α7Ⅲの5段分に対しDC-S1は6段分と1段の開きがあります。
この差が大きいのか小さいのか評価は難しいですが、元々Panasonicの手振れ補正は信頼度が高い印象があります。
DC-S1の大きなアドバンテージは動画機能
α7ⅢとDC-S1のもっとも大きな違いは動画の機能です。
α7Ⅲは4K30Pまでなのに対してDC-S1は、60Pを達成しています。
DC-S1は後発だからと言ってしまえばそれまでですが、フルサイズミラーレス一眼で60P録画が可能なのはDC-S1シリーズだけです。
Panasonicは、フルサイズ機は後発ですが動画のノウハウは他社より先んじており、センサーが小さいフォーサーズ機ではすでに4K60P録画可能なLUMIX DC-G9、LUMIX DC-GH5を発売しており、すでに技術の蓄積はなされていると考えられます。
また、有償アップグレードになりますが4K60p 4:2:2のHDMIモニタリングスルー出力が可能になります。
話が難しくなるので端折りますが、映像ではYCbCr(輝度=Y、色差=Cb(青系統)、色差=Cr(赤系統)という方式で記録されます。
間引かれていないデータはYCbCr比が4:4:4ですが、そのままだとデータ量が大変大きくなるので間引く必要があります。
人間は色の変化より明るさの変化に敏感なので、色差を減らしてデータを軽量化したのが4:2:2であり4:2:0です。
テレビなどでは、4:2:0が使われていますが、編集前は4:2:2を用いています。
簡単に言えば、RAWとjpegの違いと考えていただくとわかりやすいと思います。最初から間引かれているか編集後に間引くかの違いと言えます。
もっとも、SDカードに記録できるのは4:2:0までで、4:2:2での記録はHDMIケーブルで外部のレコーダーに接続する必要があります。
このレコーダーがまだ安いものではないので、ここまで揃えるとなるとかなりマニアックですね。
まぁ、そこまでこだわるか否かはともかくとして、4K60Pで録画できてしまうというのは良いですね~
ただし、4K60pでの撮影時は(全画素読み出しですが)1.5倍にクロップされます。
また4K60p/50pの録画は29分59秒までです。法改正で30分縛りは無くなりましたが、やはり放熱の問題があるということでしょう。
(LUMIX S1Hはファン内蔵なので全動画撮影モードで記録時間無制限撮影が可能ですが、50万円を軽く超えます)
また、ローリングシャッター現象(高速で動くものを撮影すると垂直な物が斜めに写ったりする現象)もかなり抑制されており満足できるレベルです。
結局、4K60Pで撮れるけど1.5倍クロップされてAPS-C並みになるのとクロップされないけれど30Pで撮るのとどちらを選ぶかということになってしまいます。
仕様を調べているうちにどんどん希望が萎んでいくような…
α7Ⅲも4K30Pで撮影すると1.2倍にクロップされるしAPS-C機のFUJIFILM X-T4も手振れ補正をONにすると10%クロップされるということで何が何だかわかりません。
4K30PならDC-S1が一番大きく使えるということになるようですが…
この点に関しては、各メーカーとも表示がわかりにくく比較するのにいつも難儀します。
しかも、撮影前に範囲がわからず、撮影時になって「あれっ?」と思うことがあります。
やはり動画はビデオカメラに任せるべきなんでしょうか?
センサーの大きさより60Pで撮りたいという点は満足してくれていますが…
DC-S1とα7Ⅲ、高感度耐性がほぼ同じ
さて、先にDC-S1とα7Ⅲの違いの方を挙げましたが、同じところで強調したいのはただ1点、高感度撮影時のノイズが少ないということです。
センサーの比較でいつも参考にしているDxOMarkのセンサースコアですが、センサーの総合点ではDC-S1が95でα7Ⅲが96、ダイナミックレンジはDC-S1が14.5でα7Ⅲが14.7、DxOの基準で許容できる最高のISO感度は、DC-S1が3333でα7Ⅲが3730と僅差です。
次に、Read Noise in DNs Chartで比較してみました
DC-S1とα7Ⅲ、恐ろしく似ていますね。ソニー製センサーだという説もありますが、詳細は不明です。
同じ後発でも、Canonは苦戦していますね。
またもう1つ比較に使っているのがこちらです。
ほとんど差が見えにくいですが、現像時にも排除しにくいカラーノイズはDC-S1、α7Ⅲとも少ないですね。
かなり意地悪な条件で比較していますが、屋内でフラッシュ無しで動く人を撮影するとなるとISO3200でも足りないくらいです。
おかげで、夜景を撮るのが楽しくなり、室内でもスマホ感覚で綺麗な写真が撮れるようになりました。
α7Ⅲの高感度時の描写に驚いてから、各メーカーの高感度耐性が気になりますがCanonがよほど頑張らない限りその他のメーカーはSONYのセンサーを使っているようなので、奥の手でも無いと大きな差は出にくいと思います。
DC-S1の困ったところ
DC-S1は、高感度でもノイズ特にカラーノイズが乗りにくく手振れ補正も大幅に強化されましたが…
・AFがワンテンポ遅い?
α7Ⅲと比較して僅差と言えるかどうか、微妙にAFが遅い気がします。
Panasonicは一般的な像面位相差を使わず、コントラストAFに加えてDFDテクノロジー(空間認識技術)をプラスしてピントの精度とスピードを上げています。
ピントの精度ではコントラストAFの方が優れているそうなのですが、動体が相手の場合その動きについていけなくては精度以前の問題になってしまいます。
動画をご覧になっていかがでしょうか?遠ざかる被写体に対しては各メーカー頭が痛いようですが、ピントを外した後の復帰が若干遅い気がします。
・価格が…
発売から時間が経過して価格が落ち着いてくるとどうなるかというところですが、現状ではまだα7Ⅲより4~5万円高額です。
また、ボディのみならずレンズも高額ですね~
SONYのEマウントレンズもかなりしんどい思いをして購入しましたが、Lマウントレンズはそれより一回り高いですね。
ライカのレンズが使えますが、使えるというだけで余程のハイアマチュアでもない限り手が届きません。(プロカメラマンはまず使いません)
・やはり重さが…
機能が同じなら軽いに越したことはありません。
どの程度強度が違うのかわかりませんが、α7Ⅲより367g重いというのがちょっと…
総論として
α7Ⅲより優れていたら嫌だなぁと思いながらあれこれ比較してみましたが、後発ですが特に進んだ部分は無いようです。
動画の部分に関しては驚きましたが、まだ中途半端な印象を持ちます。
大変魅力を感じるカメラではありますが、次にどう変化してくるかにかかってくると思います。
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